2014年 05月 24日
社会的に排除された個人への支援、援助 |
が当事者を置き去りにして事業化し、新たなる排除を作っていくという構造は、全く同感かつ実感です。
▼answer
実感できる場面に立ち会われたなら、その違和感は大切にして下さい。
「社会的排除」は、障害者、高齢者、当病患者、移民、貧困層ばかりでなく、だれもがいつターゲットにされるか予測もつかない社会構造の生理です。
関西に転校した江戸っ子がジャイアンツファンを名乗っただけで、恋人の家族の前で「挙式はモスクでやりたい」と宣言しただけで、学校や職場で国歌斉唱をしないだけで、要注意人物の烙印が貼られます(笑)。
社会事業化することの効果と副作用は、両目でしっかり見ておきましょう。
支援事業の【功】
とにもかくにも、駆け込み的にではあれ居場所が得られることは救いの場としての存在意義はあるでしょう。福祉事業に限らず、一般企業であれ個人商店であれ、芸術文化でも農林水産業でも、はじき出された人が働いて才能を発揮する場はあるはずです。そうしたチャンスに恵まれなかった人が、結局は「最後の受け皿」として反社会的勢力に取り込まれることが歴史的にくりかえされてきました。
90年代には、反社会的な負い目を感じずに加入できる新宗教、自己啓発、ネットワークビジネス等に、多くの学生や主婦層が取り込まれていきました。
法令を守る限り、自分のできる仕事で生計を立て、自己実現を遂げる人がいることも、無下に批判はできません。
支援事業の【罪】
排除された人々の救済・支援活動が、社会環境への働きかけをおろそかにすると、当事者を囲い込んだゲットーになりがちです。
私も昔かかわっていた不登校支援の組織は、熱烈なサポーターもいる反面、「カリスマを仰ぐカルト」との批判もあり、被害者の告発も出ています。
同業者の中には、「小さな王国」と化して、補助金不正受給、虐待、反社会的勢力との癒着等々の問題をかかえ、しかも死傷事件や告発でもなければ公的なメスが入りにくい閉鎖体質が慢性化しているところもあります。
利用・入所する当事者が自立できないどころか、共依存関係に陥っていたりすると、外からの批判に対して殻を閉ざし、ますます実態がわからなくなる。
「法人格を持ち定款と経理を公開して健全に運営されている」と自負する福祉事業でも、さて残業代はちゃんと計上されているか、職員の雇用契約は文書化されているか、有給休暇・育児休暇・介護休暇は完全取得されているか・・・とチェックすると、「完全ホワイト企業」は何割あるでしょうか?
どこに監査業務を委託しているでしょうか?インタラクティブな広報活動をちゃんとやっているでしょうか?経営者の経歴は開示されているでしょうか?
こうした小さな王国に、産業社会から排除された当事者が支配され、小さな王国は公金に依存して行政に支配される。両者の間には、政治団体や宗教団体のような中間組織が食い込み、三重・四重の主従関係ができあがっている――そんな構図は、例外的なケースであろうと祈りたいところですが。
いい参考書が絶版になっているのは残念。
太田肇『囲い込み症候群』(ちくま新書)
は図書館か古書店でどうぞ。
▼answer
実感できる場面に立ち会われたなら、その違和感は大切にして下さい。
「社会的排除」は、障害者、高齢者、当病患者、移民、貧困層ばかりでなく、だれもがいつターゲットにされるか予測もつかない社会構造の生理です。
関西に転校した江戸っ子がジャイアンツファンを名乗っただけで、恋人の家族の前で「挙式はモスクでやりたい」と宣言しただけで、学校や職場で国歌斉唱をしないだけで、要注意人物の烙印が貼られます(笑)。
社会事業化することの効果と副作用は、両目でしっかり見ておきましょう。
支援事業の【功】
とにもかくにも、駆け込み的にではあれ居場所が得られることは救いの場としての存在意義はあるでしょう。福祉事業に限らず、一般企業であれ個人商店であれ、芸術文化でも農林水産業でも、はじき出された人が働いて才能を発揮する場はあるはずです。そうしたチャンスに恵まれなかった人が、結局は「最後の受け皿」として反社会的勢力に取り込まれることが歴史的にくりかえされてきました。
90年代には、反社会的な負い目を感じずに加入できる新宗教、自己啓発、ネットワークビジネス等に、多くの学生や主婦層が取り込まれていきました。
法令を守る限り、自分のできる仕事で生計を立て、自己実現を遂げる人がいることも、無下に批判はできません。
支援事業の【罪】
排除された人々の救済・支援活動が、社会環境への働きかけをおろそかにすると、当事者を囲い込んだゲットーになりがちです。
私も昔かかわっていた不登校支援の組織は、熱烈なサポーターもいる反面、「カリスマを仰ぐカルト」との批判もあり、被害者の告発も出ています。
同業者の中には、「小さな王国」と化して、補助金不正受給、虐待、反社会的勢力との癒着等々の問題をかかえ、しかも死傷事件や告発でもなければ公的なメスが入りにくい閉鎖体質が慢性化しているところもあります。
利用・入所する当事者が自立できないどころか、共依存関係に陥っていたりすると、外からの批判に対して殻を閉ざし、ますます実態がわからなくなる。
「法人格を持ち定款と経理を公開して健全に運営されている」と自負する福祉事業でも、さて残業代はちゃんと計上されているか、職員の雇用契約は文書化されているか、有給休暇・育児休暇・介護休暇は完全取得されているか・・・とチェックすると、「完全ホワイト企業」は何割あるでしょうか?
どこに監査業務を委託しているでしょうか?インタラクティブな広報活動をちゃんとやっているでしょうか?経営者の経歴は開示されているでしょうか?
こうした小さな王国に、産業社会から排除された当事者が支配され、小さな王国は公金に依存して行政に支配される。両者の間には、政治団体や宗教団体のような中間組織が食い込み、三重・四重の主従関係ができあがっている――そんな構図は、例外的なケースであろうと祈りたいところですが。
いい参考書が絶版になっているのは残念。
太田肇『囲い込み症候群』(ちくま新書)
は図書館か古書店でどうぞ。
by edsw
| 2014-05-24 11:23
| '14年社会福祉専攻科に答える
|
Comments(2)